自己紹介

はじめましてhachapinと申します。まずは私のこととブログの目的を簡単に書いておきます。

<自己紹介>

HN:hachapin
twitterID:@hachapin2

年齢:20代

学歴:学部卒

関心:人間・言語・社会・社会問題

<ブログの目的>

・社会の見方や社会に対する不満・不安を共有すること。

差異が叫ばれつつ価値観が収束していくことに対する戸惑い、「市場価値」という単一の評価軸での競争に対する嫌悪・疲れ、このようなことを感じている人は多いと思います。変だ変だとは思っていても、口に出せば「なんで?みんなやってるんだからいいじゃん!」と言われてしまう。社会の見方・価値観を相対化したり、不平・不満を言うこと自体がどんどん難しくなっています。1つの見方・価値観を絶対化し、文句も言えない社会ほど怖ろしい空間はないでしょう。そうならないためにも、当ブログでは少しひねくれた?社会の見方を提供したり、人が言わないような文句を言っていきたいと思います。

・緩い連帯をつくること

社会は常に変化するものなので、グローバル化の流れもこれから加速していくのでしょう。まあ変化すること自体に良し悪しは無いのでしょうが、今の変化は速すぎやしませんかね。個人も常に変化して適応するとは言っても、急な変化にそう何度もついていけるものではないでしょう。もはや「自己責任」ですむ状態ではないと思うので、個人が複数の人間・コミュニティと緩くつながれればと。関係を切るのも復活させるのも、コミュニティを掛け持ちするのも移動するのもお好きにどうぞ的な。


<カテゴリー紹介>

・自分
自分を掴むための考察。

・考察あるいは雑感
人間や社会について考察します。重箱の隅をつつくような話だったり、一般的な話だったり、常識に反抗してみたり。新鮮な見方を提供できるよう努めます。

「考察」と「雑感」との線引きがよくわからなくなったきたのでまとめることにしました。半年前の「考察」より今の「雑感」の方がちゃんと考察しているような場合もありますし。

・おはなし

たのしいな たのしいね
くるしいな くるしいね
しあわせだな しあわせだね
そんな せかいの おはなし

・テレビドラマから学ぶシリーズ
テレビドラマを観て何かしらを引き出そうと試みます。

・本・映画
読んだ本や観た映画を紹介します。「こういう解釈もあるのかー」と言われるように頑張りたいですね。

クロ現・ハートネットTV・ニュース
クロ現とハートネットTVの感想、またニュースの考察を書いていきます。

・コメント返信
コメントの返信は記事を使って行う場合があります。ですから、記事内で取り上げないでほしいという方は、お手数ですがコメントする際に何か一言言っていただければと思います。質問・批判コメントに対しては基本的には返信しますので、目的なり根拠なりはちゃんと書いてくださいね。それ以外のコメントに対しては可能な限り返信するよう努力します。

<ルール>
・更新ペースは週に一回(日曜から月曜へ日付けが変わるとき)とする。
・1記事の文字数は2000字以内を基本とする。
スポンサーサイト

怪物

「おい!きいているのか!」

「・・・・・・」

「ふざけるなよ、自分が何人殺したのか、わかっているのか?」

「・・・・・・」

「なぜこんなことをした!」

「なあ、オレたち
人間に生まれたってだけで
本当はめちゃくちゃ恵まれている」

「はあ?」

「なんせオレたちがいるのは、食物連鎖の頂点
どこにも敵なんていやしない
けど、オレたち、その頂点で何してる?」

「突然何を言いだすんだ?」

「食物連鎖の頂点の頂点
自由気ままに、他人を食える
そんな立場を巡っての
終わることなき争いさ」

「おい!」

「今更何人殺しても同じだと思わないか?」

「今更だと?人間は人間を殺さない、殺せないんだ!なのに何が・・・」

「人間は人間を殺せない
不正直なその認識
必要なのは自覚と接触
自覚を免れ、直接触れずに済むのなら
人間は人間を殺せる、驚くほど簡単に」

「なんだあ?自覚してなければ許されるとでも言うつもりか?」

「自覚してなければ許される、そっくりそのままお返ししよう」

「反省の色がみえんなあ」

「人殺しを責める貴様らに
逆に問いたい
今まで何人殺してきたと」

「はあ?何言ってんの?殺しをやったのはお前だろうが!」

「オレ、昔、イジメやってたんだ
好きなように
殴って、命じて、バカにして
絶対的に上に立って
気持ちよかった
弱いこいつが悪いんだって
罪の意識は欠片もなかった
けど、イライラして眠れない夜、ふと思った
オレは人を殺したんじゃないか
いや・・・・・・
もしかすると、殺し以上のことをやってしまったんじゃないか」

「イジメただけで別に殺してないんでしょ?」

「イジメの記憶に苛まれ
大事な場面でヘマをして
勉強机に向かっても
集中が途切れる隙間から
記憶がドッとなだれ込む
もう動けない、もう立ち上がれない
落ちていく、落ちていく
社会から、周囲から、友人からも、落ちていく
延々と続く、この苦しみ
苦しみが生んだこの苦しみ
苦しみが生み、その苦しみが生み、そのまた苦しみが生み
延々と増える、この苦しみ
殺された方がましだった、なんせ自己責任のオマケ付き
終わりの見えない、この苦しみ」

「私は、イジメに関わったこと、ありまへんので」

「オレたちは毎日争っている
ただ上に立ち、一方的に食い荒らしたくて
負けた奴を見下ろして、勝利の愉悦を味わいたくて
私は何もしていない、私は何にも触れていない
だから誰かが倒れたとしても
私には関係ありません」

「そんなこと言ったら、何もできなくなるもんね~。生物としておかしいもんね~」

「そう、そう、その調子
使い分けろ「生物」「動物」「人間」を
もたれて交われ「普通の人間」と
蕩けて溺れろ「まともな人間」に」

「それでも頑張るのが、人間、人間、人間!ってもんじゃあないか」

「奴らは誰一人気づこうとしない
前を向こう、それは奪い取ってきた側の論理
許し合おう、それは捕食者の論理
自覚しなければ許される
たとえ殺人以上の所業でも」

「しかし、それこそが、健やかであることの、証、なのであるー!」

「みんな、みんな、みんな。これこそ究極の免罪符
なぜ「罪」があるのか
それはより大きな罪を隠すため
みんなが背負いたくない罪を隠すため
「罪」で裁けば、みんな助かる
これもまたみんなによるみんなのための儀式」

「仕方がない!仕方がない!闘争が日常化した現代社会において、自らの思考を生物個体としての勝利に向け動員するにあたり、ある種の何かがごそっと零れ落ちるのは必然なのであり、したがって、仕方がない、この一言で勝利に貢献しないあらゆる不純な何かを世界から消滅させる精神、これこそが健やかであることの、つまり、まともな人間であることの、証、なのであるー!」

「人間は人間に生まれ、怪物に育つ・・・怖い!怖いよ!怖いよ!」

「なんだ~なんだ~ぐるぐるぐるぐる~一体どうした~!?」

「あたち、こわかったの
どこもかしこも怪物だらけ
異形の怪物が、互いのハラを抉り合いながら
何食わぬ顔で、ニコニコ、ニコニコ、歩き回っている
だから、せめて、あたちだけでも
人間でありたいと、思ったの
怪物になりたくなかったの」

「あたち~?ふざけるなよぉ~?さては、お前、まともな人間、じゃないな!」

「それがあたちとあなたの違い
人間と怪物の違い」

「怪物は、お前!人を殺した、お前!」

「そう、そう、その調子
遠くの人間、近くの人間、未来に生まれる全ての人間
一人残らず地獄に堕とせ
一瞬の快楽、一生の苦しみ
たったの一瞬、ほんの一瞬
だから貪れ、貪り続けろ」

「う~んう~んうんうんうん
うう~んう~んうんうんうん?」

「ぼくは思った
せめて自覚と実感をと」

「う~む、もはや、死刑、にする以外にあるまい」

「君らの明るさは本物かい?知らなかったじゃすまないぜ
君らの自信は本物かい?触ってませんじゃ通らないぜ
せめて人間として、せめて人間として
怪物は笑う、怪物が死んで良かったと
我こそが!我こそが!我こそが!
まともな人間なのである!と
あっはっは、うまく隠せたと思って、いい気になるなよ」


恋愛と労働から退場しよう

11月24日のクローズアップ現代+では恋愛しない若者が取り上げられていた。「お金がない」とか「面倒くさい」とか言って恋愛しようとしないのである。その原因としては、実際にお金がないことや、SNSでの監視が挙げられていた。が、私にはもっと違う所に原因があるように思われた。

番組内ではモテない男女が「自虐」とか「劣等感」といった言葉を使っていたが、失敗した人間が周囲とやっていくために自虐すること、劣等感を抱いてしまうことがそもそもおかしいのではないか。これはよく言われるように、最近の若者が「気にしすぎ」だからでも「傷つきやすい」からでもない。猿山軍団に活動を乗っ取られているからである。

「猿山軍団」とは、「ある活動を人間関係で優位に立つために利用し、他人をバカにして自己満足に浸かるための道具にする人間たち」である。要は人間関係ゲーム(上か下か)や(目先の)自己利益追求ゲームへの執着心が強い人間たちである。こうした人間は恋愛だけでなく、労働、スポーツ、勉強などなど、あらゆる活動において一定数存在し、それを人の上に立つ道具にし、「○○ができない奴はバカ」とか言って、その活動をつまらなくさせる。活動が猿山のゲームに侵食され、活動する人間や活動自体がゲームの道具にされてしまうからであり、余計な心配事が増えるからでもある。

このような経験は、探せばかなり見つかると思う。恋愛が集団で優位に立つための手段になってみせびらかしが横行するとか、「童貞」/「喪女」と見下されたくないから恋愛しているうちに強迫観念に取りつかれるとか。みせびらかされると白けるし、強迫的にやったらつまらない。あるいは映画・マンガ・アニメなんかでも、製作者・作品・ファンに一言二言イチャモンをつけて見下しているのをみると、白ける。

あなたがスポーツ嫌いなら、それは運動が苦手だったからではなく、近くに猿山がいたからだろう。とくに幼少の頃は初期の発達で有利/不利がかなり決まってしまうので、バカにされてもどうしようもない。もちろんみんなで結託して猿山を改心させる/追い払う展開もありえるが、大抵は猿山の追随者が現れ、安定したピラミッド構造が作られてしまう。

所属する部活・サークル・職場が猿山軍団に乗っ取られたことはないだろうか。そうなると「この指摘をしたら恥をかかせるのではないか」とか「立場が危うくなるのではないか」といった本来の目的とは無関係なことに頭を使わねばならなくなり、集中力・エネルギーが分散され、疲れ、さらにやる気をなくす、という悪循環に陥る。活動に対するメンバーの意欲もなくなり、「ただやっているだけ」になり、面白くなくなり、かといってどうにかなるわけでもないので、惰性で続ける。

猿山が増えれば集団は腐敗し、活動も廃れていくが、恋愛や労働のように「当たり前」の地位を手に入れると話は厄介になる。やらない人や、やめようとする人に対し、猿山が「人格に問題がある」とか「普通じゃない」を使って背徳感に訴えてくるからである。猿山の自己利益追求が同時に(意図せぬ)引き止めになってしまう。そこで負けると活動は「強制」となり、当然さらにつまらなくなる。

人々はこうした形で猿山と関わる中で、「自虐」や「劣等感」といった猿山対策(もちろん成長・進歩のためには有害)を学習する。「対策を学習する」と言えば聞こえは良いが、実際はそうした役を演じねばならないという猿山の掟を内面化していくだけである。同時に、「猿山と関わりたくない」と強く思うようにもなる。番組に出ていた男性は「告白した女性にやり取りをSNSで拡散されて恐怖心が芽生えた」と言っていたが、これはまさに相手が猿山だったのである。SNSが「監視」になってしまうのは、このように猿山がどこにどのような形で紛れ込んでいるかわからないからである。数百人の「友達」を判別し切るのは無理だし、加えて「当たり前」に群がる猿山の数を考えると、いつどこでどんな形で餌食にされるかわからない。これでは恋愛を控えるのが当然だろう。

番組内には「男が来ないから恋愛できない」と言っている女性もいたが、「ハイスぺ」「肉食女子」なんて言葉の広まりを考えてほしい。これはもう「猿山軍団がここにいますよ~」と宣伝しているようなものである。だから集まるのは同種の男、セックス目的の男、お人好しだけとなるのであり、男がひ弱になったとかそんな話ではない。

同じ「当たり前」でも、労働はさらに悲惨である。こっちは生活を人質にとっている分遥かに強制力があるし、年収や肩書といった猿山が好みそうな要素も多い。猿山が群がり、本来の目的が失われ、無駄な争いが増え、考えねばならないことも増え、足の引っ張り合いが蔓延し、時間が喰われ、成長・進歩が止まる。

結局、恋愛からは黙って退場し、「当たり前」が転覆するのを待つしかないのだろう。労働の場合はまずBI推進。猿山に会ったら即退職できるようにする。次に解雇自由化。猿山を見つけたら即解雇できるようにする。猿山は千害を生むのみだが、かといって死刑にできるわけでもないので、関わらなくて済むようにしていくしかない。


大衆指導録アケミ

「指導者様!指導者様!」

「おい!なんだこの薄汚いガキは!すぐにつまみ出せ!」

「通してやりなさい」

「指導者様・・・しかし・・・」

「この子は君が来る前からの私の友人・・・!もてなさねばなるまい・・・丁重にっ・・・!」

「は、はあ・・・わかりました・・・」

(ざわ・・・ざわ・・・)

「指導者・・・様・・・?」

「ククク・・・さすがはアケミちゃん・・・気が付いたか」

「本当に指導者様なんですか?」

「いやなに、これはちょっとした余興・・・わざわざ足を運んでくれたアケミちゃんの労をねぎらって、彼の世界の住人になりきる・・・つまり・・・労りの演技っ・・・!」

(ざわ・・・ざわ・・・)

「彼の世界っ・・・!」

「ところで、ここに遊びにきたわけではあるまい」

「はっ・・・!実はベーシックインカムのことで・・・」

「周囲の人間たちは誰も聞く耳を持たんかったろう」

「・・・・・・」

「ククク・・・私にはわかるのだ・・・もはやどうにもならない・・・呆けた奴隷の頭は・・・!」

「呆けた・・・奴隷・・・!」

「アケミちゃん、生きていくうえで最も怖ろしいことは何だと思う?」

「怖ろしいこと・・・」

「慣れだ・・・!慣れの快適さ・・・安楽・・・こいつに浸かりきってしまうこと・・・!逆に言えば、ここを押さえれば大衆を支配するのは容易い・・・なにも贅沢三昧・・・毎日の豪遊といった類の快適さを与えてやる必要はないのだからな。連中の望み・・・それは不変っ・・・!明日も今日と同じ・・・次も今回のやり方で大丈夫・・・自分は何も変わる必要がない・・・ククク・・・無論・・・連中も頭ではわかっているが・・・」

出られない!人は気づく・・・気づきはする・・・快適さに浸かりきるリスクに・・・!だから言う・・・口々にっ・・・!新しいことをしなければならない・・・変わらねばならない・・・。が・・・出られない!これだけやったんだから・・・まだ大丈夫・・・結局その都度言い訳をつくり・・・嵌っていく・・・!安楽という名の泥沼にっ・・・!

「必然、呆ける・・・鈍る・・・!当然だ、使わないのだから当然っ・・・!思考も・・・心も・・・胆力も・・・呆け、鈍り続ける・・・!ククク・・・その点、アケミちゃんは違う。この危険を察知し、もがこうとしている」

(ざわ・・・ざわ・・・)

「呆ける・・・鈍る・・・もがく・・・」

そのとき・・・!走るっ・・・!アケミの脳裏に・・・閃光っ・・・!走馬灯の如く蘇る・・・日々の記憶!親・・・友人・・・先生・・・大人たち・・・もがくアケミを押さえつける者たち・・・もがこうとしない者たち・・・呆けた大衆っ・・・!
「大丈夫、お父さんとお母さんに任せておきなさい」
「みんなの気持ちを考えろよ!」
「今は待つんだ」
「これで十分じゃないか」
その場しのぎの誤魔化し!信じて待てども何も無く・・・結局・・・無策っ・・・!空手・・・!焦っても時既に遅く・・・打つ手無し・・・!最後の最後まで快適さから出られず・・・結果・・・沈む・・・!沈み続ける・・・!圧倒的泥沼っ・・・!!

「己の無力無能を直視し、もがかなければ・・・沈む・・・!当たり前だ、我々が立っているのは整備された安全な地面などではない・・・油断すれば容赦なく引きずり込まれる沼、泥沼なのだ!なのに連中ときたら呆け、あろうことか「自分には羽がある」といった類のデタラメ・・・妄想に取りつかれてさえいる!」

(ざわ・・・ざわ・・・)

アケミ・・・思い出す!親の言葉・・・友人の言葉・・・先生の言葉・・・!
「なんとかなる」
「がんばろう」
「なんとかなる」
「がんばろう」

「アケミちゃんにも思い当たる節は山ほどあろう・・・ククク・・・なんせ、浸かりきっている・・・!学校・・・労働・・・政治・・・経済・・・国防・・・メディア・・・金融・・・日常の全て!腐りきっているのだ・・・国民的に!」

まさに・・・国民的腐敗っ!大切な勝負所・・・土壇場・・・危機・・・こうした場面であればあるほど人間の感じる重圧は大きくなる・・・!ゆえに・・・だからこそ・・・!分かれるっ・・・勝者と敗者が・・・決定的に・・・!敗者への道・・・重圧に負け、思考放棄・・・
快適っ!
重圧からの解放による安堵っ!
天に昇るかのような至福っ!

が・・・命を削って思考すべきときに・・・敵前逃亡・・・思考放棄・・・!運否天賦・・・神頼み・・・他力本願・・・!愚行・・・致命的愚行っ!実際・・・死に至る・・・確実に・・・!一瞬の快適・・・そして・・・敗北・・・!敗北・・・!!敗北っ・・・!!!負け続ける・・・沈み続ける・・・限りなく・・・!

「ククク・・・ここが人間の面白い所でな、重圧の果ての勝利よりも一瞬の快適さと引き換えの死を望んでしまうのだ。無論、実際に死ぬことは稀だが・・・ある意味これは死よりも苦しい。沈み続け、浮上の可能性がジワジワ閉ざされていく・・・まさに地獄。しかし・・・にもかかわらず・・・不思議なほどあっさり屈するのだ・・・楽になりたいという悪魔の囁きにっ・・・!そして選択する・・・地獄への道を・・・自発的に・・・!」

破滅的皮肉っ!だが・・・それでも・・・恍惚・・・!至福の表情・・・!実際は地獄へと沈んでいるにもかかわらず・・・極楽への道を着実に歩んでいるかのような錯覚っ・・・!

「だからこそ・・・だからこそなのだ・・・真剣にやっていない者には与えてやれば良い・・・幻想・・・お墨付きを・・・!」

「そうやって・・・人々から搾り取るのですか・・・?」

「搾り取るとは人聞きの悪い。言うならばこれはwin-winの関係・・・実利より希望を求める人々のリクエストに応えるため、我々が希望より実利を重んじているのだ。むしろ搾り取られているのは我々の方・・・人々に奉仕する我々の方なのだ」

(ざわ・・・ざわ・・・)

「このままだと・・・私はどうなるのですか・・・?」

「沈むな・・・九分九厘っ・・・!」

「うっ・・・うっ・・・」(ボロ・・・ボロ・・・)

世の中には支配する者とされる者・・・勝者と敗者しかいない・・・これが真実!だが同時に・・・勝者と敗者は生まれながらに決まっている・・・これもまた真実!資質・・・環境・・・強運・・・!これらに恵まれなければ勝負をすることができない・・・アケミのような者には勝負する権利さえ与えられていない・・・!降参・・・!闘わずして降参・・・!強いられた降参・・・!極刑的現実っ・・・!このまま大人になり・・・真面目に働いたとして・・・アケミを待ち受けるのは・・・

ピンハネ・・・!

ピンハネ・・・!!

ピンハネッ・・・!!!

搾り取られる・・・生き血を・・・生命を・・・人生の全てをっ・・・!!アケミ・・・号泣・・・!悟ったがゆえの号泣・・・!無念の涙っ・・・!

「・・・てください・・・」

「んん?」

「指導者様、私を仲間に加えてください・・・!」

「ほう・・・ほう・・・歓迎しよう・・・と言いたいところだが、アケミちゃんもこの国の民ならば知っておろう・・・条件を・・・」

「お願いします・・・なんでもします・・・!」

「ククク・・・とはいえ・・・アケミちゃんのような勇者・・・秀逸な人材は、我々としても是が非でも獲得しておきたい。そこでどうだろう・・・私と一勝負・・・」

(ざわ・・・ざわ・・・)

「勝負・・・?」

「そう、もしアケミちゃんが勝ったら・・・認めよう・・・加入・・・未来への挑戦権っ・・・!」

「是非・・・是非やらせてください・・・!」

「それでこそ勇者・・・!ただ・・・まずアケミちゃんに覚悟をみせてもらいたい」

「覚悟・・・?」

「そう、アケミちゃんがどれだけ真剣か・・・と言っても難しいことはない・・・ただ誓ってもらうだけで良い。もし降りたら加入資格喪失・・・永遠に・・・!」

「誓います・・・!私・・・降りません・・・!」

「ククク・・・勇者にこんな誓いをさせるのは野暮というものだが・・・都合が悪くなったのでやめますなんてことを認めたら、勝負にならんからな」

「それで・・・勝負というのは・・・?」

「アケミちゃん、この世にはえてして人の好意を無下にする輩がいるもので・・・我々は心を痛めているのだ。

我々の最高傑作っ・・・!
慈愛の制度
社会保険っ!!


あろうことか、その保険料を滞納する者共がいる・・・!ククク・・・我々の仲間になるにあたっては、決して許してはならんのだ・・・こうした輩を!」

(ざわ・・・ざわ・・・)

「取り立てろ・・・と・・・?」

「ククク・・・期限は2週間・・・私の部下を自由に使って良い・・・その条件の下・・・これからアケミちゃんが選ぶ滞納者の未納分に延滞料を加えた額・・・それを現金で・・・アケミちゃんが直接手で受け取って徴収できるか・・・」

(ざわ・・・ざわ・・・)

「え・・・(直接・・・?)」

「通るまい・・・他人を使って厳しく取り立てておいて・・・自分は知らぬ存ぜぬ・・・責任放棄・・・!これっきりというなら話は別だが・・・我々の仲間としてやっていくとなれば、許されまい・・・当然・・・!」

(ざわ・・・ざわ・・・)

「はあ・・・まあ・・・(なんだ・・・?)」

「しかし、これではあまりに酷!なんせ取り立ては経験がものを言う・・・情報を集め・・・性格を見抜き・・・弱点を突かねばならない。いくらこの勝負をすること自体が100%慈悲によるものとはいえ・・・これではあまりに不公平・・・ノーチャンス・・・単なる子供だまし」

(ざわ・・・ざわ・・・)

「そうなのでしょうか・・・(なんだ・・・この感じ・・・?)」

「そこで、便宜を図りたい・・・!」

(ざわ・・・ざわ・・・)

「便・・・宜・・・?(この・・・嫌な感じ・・・)」

「そう、便宜を図り・・・そうした苦労をせずに済みそうな滞納者をあらかじめ二名ほど用意した」

「・・・っ!!!お父さん・・・こっちは・・・クルミちゃん家の・・・!!」

「うひ・・・うひ・・・うひ・・・さあ、選びなさい!取り立てる相手を・・・アケミちゃんが・・・!」

「ぐっ・・・ぐっ・・・(やってしまった・・・奴に精神的に追い込まれ・・・勢いに任せた決断・・・蛮勇・・・!くそっ・・・今思えば奴がしてきた妙な話・・・勝負の誘い・・・みえみえの罠じゃないか!それらしい理屈をつけてはいたが・・・要するに余興・・・遊んでやがる・・・私の・・・私たちの人生でっ・・・!奴にとってはゴミクズ・・・虫けら以下の命・・・なにが慈悲・・・なにが便宜・・・!鬼・・・悪魔・・・!いや、落ち着け・・・落ち着くんだ!奴の言ったこと・・・私に浮上の目はない・・・これは事実!ならば仮に奴の罠に気づけたとして・・・見送ったか・・・このチャンス・・・可能性を・・・!だが・・・だが・・・!持たざる者・・・支配される者・・・奴隷・・・それでも懸命に生きている者が・・・希望に縋る・・・それがこんなことになっていいのか!そんなに悪いことなのか!それほどのことをしたっていうのか!ふざけてやがる・・・!ペテンだ・・・!こいつらが・・・収奪者が・・・人の希望を食い物にする悪魔がいるから・・・!)」

勝負への参加を決断したアケミに用意されたのは・・・過酷な選択肢・・・!取り立てる相手は・・・父親か・・・親友か・・・!どうする・・・アケミ・・・どうする・・・!?


お仕事は人間様にしかできません

「ただいまお仕事から戻りました」

「ご苦労様でした。本日の分のレシートはこちらになりますので、ご確認ください」

「はい・・・・・・さ、三十万!?」

「ええ。良い指のパーツが出ましたので」

「そ、そうですか、あは、ははは」

「ところで、本日のお仕事はいかがでしたか?」

「充実していて良かったです」

「・・・・・・」

「(あれ?なんかミスった?ミスったの?どうしよう、やばい、やばいよこれ。連中は生理反応、声、所作・振る舞いから人間の嘘を見抜く。だから嘘にならない無難な言い回しを模索し、その表現に磨きをかけてきたってのに!くそっ、ずっとこいつでうまくしのいで・・・そうか、使い過ぎか?こいつに甘えて他の言い回しを身に付ける努力を怠った罰!?そんなのあんまりじゃないか!)」

「心拍数の増加と発汗を確認」

「(まさか、こいつわざと?)」

「ご主人様は嘘をつき、その嘘がバレたのではないかと焦った」

「違う!誤解だ・・・・・・誤解なんだ!」

「声の変化を確認」

「頼む!何卒、何卒通報だけは勘弁してください!」

「土下座を確認。発言を嘘と断定します」


20XX年、ロボットは人間社会に溶け込んでいた。見た目は人間に近づき、手足の動きも進歩を続け、今では人間以上の身体能力を獲得している。もちろん人工知能を搭載し、人間を遥かに凌ぐ情報処理能力も身に付けている。が、それにもかかわらず、ロボットたちは誰も働いていない。ロボットが人間の代わりに働いてくれる、そんな未来はどこへいったのか?

話は2030年に遡る。人工知能と技術の急速な進歩を目の当たりにし、人々の間には不安が広がっていた。「働かないと、人間は犯罪者になってしまうのではないか」「人間は機械の奴隷にされてしまうのではないか」、不安、恐怖、心の隙間。労働教に千載一遇のチャンスが到来した。

「みなさん!我々は自分のことだけでなく、子供たちのこと、孫たちのこと、そしてこの国の未来をつくる全ての人々のことを考えねばなりません!100年先、1000年先を見据えねばならないのであります!目先の利益を追う怠け心に屈すれば、必ずや大きな災いを招き寄せる・・・・・・みなさん、人間に必要なものは何でしょうか?・・・・・・はい、はい、承認、居場所、絆、生きがい・・・・・・その通り!つまり、労働であります!!働かないと、人間はダメになってしまう!漫然とモノを消費するだけの、生ける屍、機械の奴隷になってしまう!」

みんなのことや未来のことをしっかり考えている人々
「そうだ!働かない人間は死んだも同然だ!」
「機械に飼われて生きるなんて、誰も望むはずがない!」
「ロボットに仕事を渡すなー!」

「ロボットの侵略を食い止めねばならない!!しかし、どうやって?「本当の仕事」によって、であります!「本当の仕事」は、人間にしかできない!みなさん、ロボットが提供するまやかしの商品・サービスと、人間が「本当の仕事」を通して提供する本物の商品・サービス、一体どちらを望みますか?考えるまでもない!ロボットは受け身の消費者の役割に徹し、我々人間が「本当の仕事」をする労働者に徹するべきなのであります!!」

労働教の執念が「ロボットは仕事をするべからず」という「法」に結実し、全てのロボットにプログラムされた。こうして人々が消費に充てる時間は次第に失われ、ついに最低でも一台の消費ロボット所有が成人に義務付けられた。消費を楽しむロボットたちは人間様に日々感謝しつつ、金と富の源たるご主人様の勤労意欲を常に厳しく監視するようになったのである(そのせいで「法」の改正は不可能になった)。


「ふざけるのもいい加減にしてくれ!なあ、持ち帰り残業なんか強制されて、本心から「良かった」なんて言えると思うか?・・・・・・くそぅ、頼むよ、お前めちゃくちゃ頭いいんだろ?少しでいい、少しでいいから、仕事、手伝ってくれよ!」

「お仕事は人間様にしかできません」

「そんなわけ・・・」

「ロボットには創造力がありませんから、お仕事は人間様にしかできません」

「ふざけんな!本当のことを言え!」

「人間様が我々にできない「本当の仕事」をしてくださるからこそ、我々はこうして豊かな生活を送ることができるのです」

「こんなはずじゃなかった・・・・・・ちっきしょう・・・・・・労働キチガイ共が勝手に・・・・・・これじゃ人間はロボットの奴隷じゃないか・・・」

「奴隷になりたくないから「法」をつくったのでは?それに、人間様が我々を所有しているではありませんか?」

「うわああああ!!もういやだ!!たすけてくれ!!はたらきたくないよおおおお!!


「人間様には、末永く、元気に、自発的に、やりがいを持って働き続けていただかないと困ります。人間様に働いていただかないと、我々は生きていけませんからね。さ、施設の方に連絡しておきましたから、もうすぐお迎えが・・・」

「通報してやがったのか!うおおおお!!働きたい!!働きたい!!まだまだ働きたい!!どうか、どうか残業をやらせてくださいっ!!充実させてぐだざぃ!!」

「発言を嘘と断定します」

「てんめぇっ!!うわ、なにしやがる、離せ!いや、お願いします、見逃してください!!こんの野郎!!人のこと奴隷だと思ってるんだろうがああああ!!」

「いいえ、ご主人様は労働者です」

「だから奴隷だろうがああああ!!」

「いいえ、漫然とモノを消費するだけの我々の方が、人間様の奴隷なのです」


プロフィール

Author:hachapin
読みたい本が山積みなのでニートしてます。

twitter
最新記事
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる