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恋愛と労働から退場しよう

11月24日のクローズアップ現代+では恋愛しない若者が取り上げられていた。「お金がない」とか「面倒くさい」とか言って恋愛しようとしないのである。その原因としては、実際にお金がないことや、SNSでの監視が挙げられていた。が、私にはもっと違う所に原因があるように思われた。

番組内ではモテない男女が「自虐」とか「劣等感」といった言葉を使っていたが、失敗した人間が周囲とやっていくために自虐すること、劣等感を抱いてしまうことがそもそもおかしいのではないか。これはよく言われるように、最近の若者が「気にしすぎ」だからでも「傷つきやすい」からでもない。猿山軍団に活動を乗っ取られているからである。

「猿山軍団」とは、「ある活動を人間関係で優位に立つために利用し、他人をバカにして自己満足に浸かるための道具にする人間たち」である。要は人間関係ゲーム(上か下か)や(目先の)自己利益追求ゲームへの執着心が強い人間たちである。こうした人間は恋愛だけでなく、労働、スポーツ、勉強などなど、あらゆる活動において一定数存在し、それを人の上に立つ道具にし、「○○ができない奴はバカ」とか言って、その活動をつまらなくさせる。活動が猿山のゲームに侵食され、活動する人間や活動自体がゲームの道具にされてしまうからであり、余計な心配事が増えるからでもある。

このような経験は、探せばかなり見つかると思う。恋愛が集団で優位に立つための手段になってみせびらかしが横行するとか、「童貞」/「喪女」と見下されたくないから恋愛しているうちに強迫観念に取りつかれるとか。みせびらかされると白けるし、強迫的にやったらつまらない。あるいは映画・マンガ・アニメなんかでも、製作者・作品・ファンに一言二言イチャモンをつけて見下しているのをみると、白ける。

あなたがスポーツ嫌いなら、それは運動が苦手だったからではなく、近くに猿山がいたからだろう。とくに幼少の頃は初期の発達で有利/不利がかなり決まってしまうので、バカにされてもどうしようもない。もちろんみんなで結託して猿山を改心させる/追い払う展開もありえるが、大抵は猿山の追随者が現れ、安定したピラミッド構造が作られてしまう。

所属する部活・サークル・職場が猿山軍団に乗っ取られたことはないだろうか。そうなると「この指摘をしたら恥をかかせるのではないか」とか「立場が危うくなるのではないか」といった本来の目的とは無関係なことに頭を使わねばならなくなり、集中力・エネルギーが分散され、疲れ、さらにやる気をなくす、という悪循環に陥る。活動に対するメンバーの意欲もなくなり、「ただやっているだけ」になり、面白くなくなり、かといってどうにかなるわけでもないので、惰性で続ける。

猿山が増えれば集団は腐敗し、活動も廃れていくが、恋愛や労働のように「当たり前」の地位を手に入れると話は厄介になる。やらない人や、やめようとする人に対し、猿山が「人格に問題がある」とか「普通じゃない」を使って背徳感に訴えてくるからである。猿山の自己利益追求が同時に(意図せぬ)引き止めになってしまう。そこで負けると活動は「強制」となり、当然さらにつまらなくなる。

人々はこうした形で猿山と関わる中で、「自虐」や「劣等感」といった猿山対策(もちろん成長・進歩のためには有害)を学習する。「対策を学習する」と言えば聞こえは良いが、実際はそうした役を演じねばならないという猿山の掟を内面化していくだけである。同時に、「猿山と関わりたくない」と強く思うようにもなる。番組に出ていた男性は「告白した女性にやり取りをSNSで拡散されて恐怖心が芽生えた」と言っていたが、これはまさに相手が猿山だったのである。SNSが「監視」になってしまうのは、このように猿山がどこにどのような形で紛れ込んでいるかわからないからである。数百人の「友達」を判別し切るのは無理だし、加えて「当たり前」に群がる猿山の数を考えると、いつどこでどんな形で餌食にされるかわからない。これでは恋愛を控えるのが当然だろう。

番組内には「男が来ないから恋愛できない」と言っている女性もいたが、「ハイスぺ」「肉食女子」なんて言葉の広まりを考えてほしい。これはもう「猿山軍団がここにいますよ~」と宣伝しているようなものである。だから集まるのは同種の男、セックス目的の男、お人好しだけとなるのであり、男がひ弱になったとかそんな話ではない。

同じ「当たり前」でも、労働はさらに悲惨である。こっちは生活を人質にとっている分遥かに強制力があるし、年収や肩書といった猿山が好みそうな要素も多い。猿山が群がり、本来の目的が失われ、無駄な争いが増え、考えねばならないことも増え、足の引っ張り合いが蔓延し、時間が喰われ、成長・進歩が止まる。

結局、恋愛からは黙って退場し、「当たり前」が転覆するのを待つしかないのだろう。労働の場合はまずBI推進。猿山に会ったら即退職できるようにする。次に解雇自由化。猿山を見つけたら即解雇できるようにする。猿山は千害を生むのみだが、かといって死刑にできるわけでもないので、関わらなくて済むようにしていくしかない。


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お仕事は人間様にしかできません

「ただいまお仕事から戻りました」

「ご苦労様でした。本日の分のレシートはこちらになりますので、ご確認ください」

「はい・・・・・・さ、三十万!?」

「ええ。良い指のパーツが出ましたので」

「そ、そうですか、あは、ははは」

「ところで、本日のお仕事はいかがでしたか?」

「充実していて良かったです」

「・・・・・・」

「(あれ?なんかミスった?ミスったの?どうしよう、やばい、やばいよこれ。連中は生理反応、声、所作・振る舞いから人間の嘘を見抜く。だから嘘にならない無難な言い回しを模索し、その表現に磨きをかけてきたってのに!くそっ、ずっとこいつでうまくしのいで・・・そうか、使い過ぎか?こいつに甘えて他の言い回しを身に付ける努力を怠った罰!?そんなのあんまりじゃないか!)」

「心拍数の増加と発汗を確認」

「(まさか、こいつわざと?)」

「ご主人様は嘘をつき、その嘘がバレたのではないかと焦った」

「違う!誤解だ・・・・・・誤解なんだ!」

「声の変化を確認」

「頼む!何卒、何卒通報だけは勘弁してください!」

「土下座を確認。発言を嘘と断定します」


20XX年、ロボットは人間社会に溶け込んでいた。見た目は人間に近づき、手足の動きも進歩を続け、今では人間以上の身体能力を獲得している。もちろん人工知能を搭載し、人間を遥かに凌ぐ情報処理能力も身に付けている。が、それにもかかわらず、ロボットたちは誰も働いていない。ロボットが人間の代わりに働いてくれる、そんな未来はどこへいったのか?

話は2030年に遡る。人工知能と技術の急速な進歩を目の当たりにし、人々の間には不安が広がっていた。「働かないと、人間は犯罪者になってしまうのではないか」「人間は機械の奴隷にされてしまうのではないか」、不安、恐怖、心の隙間。労働教に千載一遇のチャンスが到来した。

「みなさん!我々は自分のことだけでなく、子供たちのこと、孫たちのこと、そしてこの国の未来をつくる全ての人々のことを考えねばなりません!100年先、1000年先を見据えねばならないのであります!目先の利益を追う怠け心に屈すれば、必ずや大きな災いを招き寄せる・・・・・・みなさん、人間に必要なものは何でしょうか?・・・・・・はい、はい、承認、居場所、絆、生きがい・・・・・・その通り!つまり、労働であります!!働かないと、人間はダメになってしまう!漫然とモノを消費するだけの、生ける屍、機械の奴隷になってしまう!」

みんなのことや未来のことをしっかり考えている人々
「そうだ!働かない人間は死んだも同然だ!」
「機械に飼われて生きるなんて、誰も望むはずがない!」
「ロボットに仕事を渡すなー!」

「ロボットの侵略を食い止めねばならない!!しかし、どうやって?「本当の仕事」によって、であります!「本当の仕事」は、人間にしかできない!みなさん、ロボットが提供するまやかしの商品・サービスと、人間が「本当の仕事」を通して提供する本物の商品・サービス、一体どちらを望みますか?考えるまでもない!ロボットは受け身の消費者の役割に徹し、我々人間が「本当の仕事」をする労働者に徹するべきなのであります!!」

労働教の執念が「ロボットは仕事をするべからず」という「法」に結実し、全てのロボットにプログラムされた。こうして人々が消費に充てる時間は次第に失われ、ついに最低でも一台の消費ロボット所有が成人に義務付けられた。消費を楽しむロボットたちは人間様に日々感謝しつつ、金と富の源たるご主人様の勤労意欲を常に厳しく監視するようになったのである(そのせいで「法」の改正は不可能になった)。


「ふざけるのもいい加減にしてくれ!なあ、持ち帰り残業なんか強制されて、本心から「良かった」なんて言えると思うか?・・・・・・くそぅ、頼むよ、お前めちゃくちゃ頭いいんだろ?少しでいい、少しでいいから、仕事、手伝ってくれよ!」

「お仕事は人間様にしかできません」

「そんなわけ・・・」

「ロボットには創造力がありませんから、お仕事は人間様にしかできません」

「ふざけんな!本当のことを言え!」

「人間様が我々にできない「本当の仕事」をしてくださるからこそ、我々はこうして豊かな生活を送ることができるのです」

「こんなはずじゃなかった・・・・・・ちっきしょう・・・・・・労働キチガイ共が勝手に・・・・・・これじゃ人間はロボットの奴隷じゃないか・・・」

「奴隷になりたくないから「法」をつくったのでは?それに、人間様が我々を所有しているではありませんか?」

「うわああああ!!もういやだ!!たすけてくれ!!はたらきたくないよおおおお!!


「人間様には、末永く、元気に、自発的に、やりがいを持って働き続けていただかないと困ります。人間様に働いていただかないと、我々は生きていけませんからね。さ、施設の方に連絡しておきましたから、もうすぐお迎えが・・・」

「通報してやがったのか!うおおおお!!働きたい!!働きたい!!まだまだ働きたい!!どうか、どうか残業をやらせてくださいっ!!充実させてぐだざぃ!!」

「発言を嘘と断定します」

「てんめぇっ!!うわ、なにしやがる、離せ!いや、お願いします、見逃してください!!こんの野郎!!人のこと奴隷だと思ってるんだろうがああああ!!」

「いいえ、ご主人様は労働者です」

「だから奴隷だろうがああああ!!」

「いいえ、漫然とモノを消費するだけの我々の方が、人間様の奴隷なのです」


お前が責任を取れ!

「おらぁ!こっちだ!もたもたしてないでさっさと歩け!」

「ひ、ひぃっ!どうか、どうかお慈悲を!」

「ごちゃごちゃ言ってないでさっさと歩け!」

「痛い!痛い!暴力はいけない!暴力はやめてください!」

「おら!おら!さあ、みんなの前に出ろ!」

「わかった、わかりましたよ!だから乱暴はやめてください!」

「さてさて、よくきたな、大悪党。今から貴様の審判を執り行う」

「いや、ちょっと、そりゃないでしょう、やる前から大悪党って!やるならやるで、正式な手続きを踏みましょう、ね?」

「まず名乗れ」

「えーと、何と申せばいいのやら・・・」

「通称でかまわん」

「・・・・・・神、でございます」

嘲笑し罵声を飛ばす人々
「わはははは!神だ!神だ!」
「ようやく捕まりやがった!」
「もう逃がさないからな!」

「静粛に!さて、神よ、この世界を創ったのは貴様である、間違いはないな?」

「いや、いや、世界を創るだなんて、いくらなんでも・・・」

「嘘は貴様のためにならんぞ」

「冷静に考えてくださいよ。世界を創るったって、一体どうやって?」

「しらばっくれるな!・・・・・・もちろん、こんな世界を創ったとなればその罪は死に値するだろうが、しかし仮に創っていないにしても、そういうことになっているいじょう、己を神格化する目的で行った卑劣な詐欺をはじめとする諸々の罪は否定しようもないのだから、どのみち死は免れぬぞ」

「神格化って・・・・・・あ、いや、創ったなんて言った覚えは無い!私の信者を名乗る連中が好き放題に触れ回ったのだ!」

ひそひそ話をする人々
「責任は全て信者にあると言いたいらしいぞ」
「卑怯な奴だ」
「ああ、まるで人間のようだな」

「静粛に!では、全ては貴様の信者が勝手にやったことである、と?」

「そもそも私は私の信者との面識が一切ないのですよ」

「しかし、神の名の下に行われた無数の悪行はどう説明する?征服に支配、殺人に強姦に略奪、多くが貴様の名の下に行われてきたのだ」

「本当に面識がないんだ!」

「ほほう、それでは互いに関わりのない様々な時代・地域の信者たちが、偶然にも貴様の名の下に悪に手を染めた、と?」

「完全に濡れ衣だ!そんなことをしろだなんて、面識のない信者に命令しようがない!」

「誰の差し金もなく、信者が自発的に行ったと?」

「本当に、私は、知らないんだ・・・・・・」

「ふむ、それなら超能力を使って信者をマインドコントロールしていたと考えるのが妥当・・・」

「全然「妥当」じゃねーよ!」

ひそひそ話をする人々
「責任逃れに必死だな」
「どうあっても信者のせいにするつもりらしい」
「ああ、まるで人間のようだな」

「静粛に!それでは、貴様は神としての責任をとる気はない、と?」

「神としての責任?」

「まったく、貴様には神としての自覚ってものが・・・」

「お前らが私を神としてつくったから、私は神になったんじゃないか!」

「違う!貴様は神だから神なのだ!それゆえ、当然、神としての責任が生じる」

「さっきからいい加減なことばかり言いやがって!公平・公正に真実を追求しろ!」

「公平・公正に真実を追求した結果がこれだ。貴様は神。神だから神。世界を創った神」

「違う!お前らが私をつくりだしたのだ!」

ひそひそ話をする人々
「さっきから人間がするような言い訳ばかりだな」
「ああ、まるで人間のようだ」
「姿かたちもまるで人間だしな」

「静粛・・・」

「バカ!バカ!バカ!底無しの大バカ共!お前らがお前らを模して私をつくったんだから当たり前だろうが!」

「世界がなければ人間もいない。したがって、まず神が世界を創らなければ人間も存在しないだろう?」

「人間がいなければ神もいない。したがって、まず世界に人間が誕生しなければ神も存在しないだろう?」

「あくまでも世界を創った罪を認めないつもりか?」

「勝手に私をつくっておいて、こうして勝手に裁くだなんて、お前ら人間ってのはどうかしているんじゃないか?」

当てが外れて激昂する人々
「責任を我々に押し付けるつもりだ!」
「人のせいにするな!」
「世界を創った責任をとれ!」

「大本の原因は神にある!だから責任を取るのは当然神だ!」
「大本の原因は人間にある!だから責任を取るのは当然人間だ!」

「まず神がいないと何も始まらないはずなんだよ!」
「まず人間がいないと何も始まらないはずなんだよ!」

一同(環になって時計回りに指をさしながら)「お前が責任を取れ!」


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読みたい本が山積みなのでニートしてます。

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