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娘と母のサマーウォーズ

「ねえママ、ちょっと話があるんだけど」

「もぐもぐ。なによ?」

「どうしてこんなにお菓子があるのよ。もう買ってこないって、この前約束したはずでしょ」

「いいじゃない、たまにはお菓子ぐらい食べたって」

「ママの「たまに」は「毎日」を意味するってわけね?」

「まったくうるさい娘だねえ・・・あんたと違って私は家の事をやってるの。その分お腹が減るのよ」

「それなら飽きたお菓子を「もったいないから」って私に処理させるのやめてくれない?」

「なんでよ?お菓子の嫌いな人間なんてこの世にいないはずよ」

「あのね、ママ、私はただバランスのとれた生活がしたいだけなの。お菓子は生活のバランスを崩すでしょう。なのに、お菓子を断るとママ怒るじゃない・・・「可愛げのない娘だ!」とかってねちねちと・・・」

「うるさい!じゃあもう買ってこないわよ!買ってこなければ文句無いんでしょ!」

「そうしてくれないから今話してるのよ。ねえママ、私もう嫌なのよ、こういう生活。あれやこれやと理由をつけて予定に無いお菓子を買って、あれやこれやと理由をつけて食べて、その後は「ダイエット」って呪文を唱えてその場にいる人たちと一緒に堕落を正当化するのよ。至る所でこんな儀式をやらされて、もうコリゴリ。正当化正当化正当化、後悔後悔後悔、決意決意決意、反故反故反故。私は普通にしたいのよ」

「また小憎らしいことばかり・・・たまにはね、息抜きや贅沢も必要なのよ」

「「たまに」じゃないから話してるんじゃない。買い物に行くたびにお菓子以外にもいろいろ無駄なモノ買ってきて・・・この前なんてママが買い物に行く前に2人で一緒に買うものリストを作って、ママも納得してたじゃない。なのにどうしてリストに無いモノをあんなに買ってきたのよ」

「見てたら必要だって気付いたのよ。それに安くなってたし。結局使うなら、安いときに買っておいた方がお得でしょう」

「そう言って買ってきて今使ってるモノってある?どれも使わずにどっかいっちゃったじゃない」

「いつか使うかもしれないでしょ!」

「使うときになってから買えば良いでしょ」

「すぐに必要になるかもしれないでしょ!」

「どこにいったかわからないのよ!これじゃすぐに使えないわ」

「あんたは本当に理屈ばっかりだねえ!お買い得なんだからいいのよ!」

「結局無駄になるんだから、「お買い得」もなにもないわよ。それにね、ママ、「お買い得」って思った時点でもうバランスが崩れてるの。それは生活で使われることのないモノなのよ」

「はあ?」

「本当に「お買い得」かどうかは問題じゃないの。ママが「お買い得」って思っていることが問題なの」

「はあ?」

「正当化してるってことよ。「お買い得」でその買い物を正当化してるの。ねえママきいて、生活に必要なモノを買うのにわざわざ正当化することってある?必要なモノなら「必要だから」で済む話じゃない」

「あんたは理屈の世界で生きてるからダメなのよ。楽しいんだからそれでいいじゃない。あんたもセール会場に行ってみれば「お買い得」ってもんがわかるわよ」

「だから、ママ、「お買い得」って思った時点で心はもう余計な行動の正当化態勢に入ってるのよ。セール会場にいる人たちもそう。飛び込みたくてうずうずしてるけど「無駄遣い」って責められるのも怖れてるの。だから実際に「お買い得」かどうかはどうでもいいのよ。周囲と自分を「お買い得」で納得させられるか、あるいは押し切れるかが問題。そのために常日頃から「お金が無い」と言い回って準備するのよ、ママみたいに」

「はいはい、あーはいはい、わかったわかった、賢い娘だね、はいはい、もう買ってこないよ、あんたの分のモノなんて」

「ねえ話はまだ終わってないわよ!どこに行くの!?」

「腹が立ったからたまには息抜きでサマーセールに行ってくるわ」


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