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人生説明会

「諸君、本日集まってもらったのは他でもない。諸君も今年で-1歳となり、生誕を間近に控える身となった。そこで、我々の世界で活躍すべく、諸君の人生について説明を聞き、正しい精神を身に付けてもらいたいのである」

「精神でございますか。して、その精神とはいったい?」

「うむ。諸君は労働者になるべく運命づけられている。したがって、諸君が身に付けるべきは労働者精神である」

「労働者、でございますか。して、その労働者とはいったい?」

「うむ。労働者とは、最も偉大な投資家のことである。諸君、人生とはそもそも投資なのだ。資源を投入し、それ以上のリターンを回収することを常に考えねばならない。食事、睡眠、娯楽、恋愛、人付き合い、あらゆる活動が投資なのである」

「全てが投資、でありますか?」

「そうだ。しかし、諸君、投資対象にも序列というものがある」

「序列、でございますか」

「うむ。今挙げたものも所詮は下位の投資対象にすぎない」

「なんと!して、序列の頂点に君臨するのはいったい?」

「諸君、序列の頂点に君臨するということは、あらゆる活動の中で最も尊いことを意味する。つまり、最高の投資対象ということである。そして、諸君、よく聞き給え、最高の投資ができる人間は、最も偉大な投資家だけなのだ!」

「おぉ~~~~・・・あれ?」

「諸君、気づいたか!そうなのだ!序列の頂点に君臨しているのは、労働なのである!諸君は労働者になるのだ!最も偉大な投資家になるのだ!」

「なんという幸運!」

「諸君、幸運はそれだけではない。知っての通り、我々の世界では生きていくためにお金が必要なのだが、なんと!この労働こそが!唯一の!お金を生み出す投資なのである!」

「なんと!」

「幸運はまだ続くぞ、なんと!労働は時間を投入すればするほど諸君に成長をもたらす!成長はさらに大きなお金を諸君にもたらす!投資すればするほど、諸君はより多くのリターンを獲得できるようになるのだ!」

「まさに一石二鳥!」

「幸運はまだ終わっていない、なんと!労働は確実にお金を生み出すのである!お金がなければ生きることのできない世界で、労働は確実にお金を生みだす!労働だけがお金を生み出すばかりでなく、確実にお金を生み出すのだ!お金がなければ1日とて生存できない世界で、確実にお金を生み出す!つまり諸君の明日を保証するのである!」

「一石三鳥!我々は偉大な投資家、労働者になる!」

「うむ、その意気だ。しかし、諸君、これほどの投資が、そう易々とできるものだろうか?」

「・・・え?」

「諸君、労働に投資するためには、まず労働を提供してもらわねばならない。そうではないか?」

「その通りであります」

「諸君、この事実は非常に大切なので、ゆめゆめ忘れてはならない。諸君に労働を提供するのは、会社である」

「会社、でありますか」

「うむ。諸君が偉大な投資家になるためには、まず会社に雇っていただかねばならない。当然だろう?」

「当然であります」

「そうなのだ!会社が雇って労働を提供してくださるからこそ、諸君は偉大な投資家として明日が保証される!そこで諸君、少し考えてもらいたい、諸君を雇っている会社に万が一のことがあったら、諸君はどうなるだろうか!?えぇ!?投資ができない!お金がない!そう、死んでしまうのだ!会社がなくなったら、諸君は死んでしまう!この事実をゆめゆめ忘れてはならない」

「会社がなくなったら、死んでしまう!」

「うむ、理解が早くてよろしい。諸君、どうだ、会社に万が一の悲劇が訪れるのを防ぐためなら、月200時間のサービス残業など、当然の義務にすぎないと、そうは思わないか!?えぇ!?万が一会社に何かあったら、諸君は死んでしまうのだぞ!」

「当然の義務であります!」

「良い返事で私は嬉しい。諸君、確かに月200時間のサービス残業はきつい。しかし、労働とは、元々きついものなのではあるまいか?きついからこそ、確実にお金を生み出せるのではあるまいか?きついからこそ、成長できるのではあるまいか?きついからこそ、これ以上ない充実を与えてくれるのではあるまいか?」

「これ以上ない充実!一石四鳥であります!」

「ところで、諸君、諸君には労働以外にない、だから労働のみが充実できる活動になるのであって、労働のみが充実できる活動だから労働以外になくなる、のではない。諸君にはこの違いが、わかるか?」

「んん~~~~~?」

「諸君、それでいい。これはひっかけだ。この違いがわかる奴は、バカなのだ」

「バカ!」

「そう、この違いがわかる奴は、バカだ。諸君、重要なことを教えよう、バカに、労働者は、務まらない。つまりバカは雇っていただけないのだ!」

「バカになってはいけない!」

「その通りだ。なんせ、会社に雇っていただかねば、諸君は死んでしまうのだから!」

「会社様!なんとありがたい!」

「諸君、その会社様を恨むなどもってのほかなのだが、中には目先のつらさに負け、ハラスメントだとか喚いて愚行に走ろうとする者がいるのだ。そこで、つらくなったら、例の事実を思い出してもらいたい。会社に雇っていただけなかったら、諸君は死んでしまう!」

「ハラスメントは恩知らず!」

「会社がなくなってしまったら、諸君は死んでしまう!」

「感謝してサービス残業!」

「素晴らしい心意気だ。それでは、諸君、我々の世界での活躍、心より期待しているぞ」


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