本心から服従しているわけじゃあない

「ちっ、やってらんねーよ・・・・・・こんなシステム・・・・・・不合理の塊じゃねーか・・・・・・奴隷にされてたまるかってんだ」

お前は頭が良いのだから、もう少し賢く立ち回ったらどうだ。

「だ、誰だ!?」

誰でもいいだろう。それより、お前は腹が減っている。のども渇いている。

「ははん、さては連中の回し者だな?うまいこと言って、オレを従わせようって魂胆だろう!」

そんなつもりはない。ただ、もっと賢く、戦略的に立ち回ってはどうか、ということだ。

「奴隷になるのと何が違う?」

全然違うじゃないか!お前は他の奴らとは違う。ただ従っているだけの愚者の群れに収まる器じゃないさ。

「・・・・・・」

その才能を、こんなつまらない意地を張ることで無駄にするのは惜しいと、そう思わないかね?

「まずは、生き残らないと・・・」

賢い!その通りなのだ!野望を成し遂げるにあたって、それこそが第一歩だろう。

「だが、これだけは忘れちゃいけない。オレは本心から服従するわけじゃあない。ただ戦略的に、服従しているフリをするだけだ」

そう、お前は他の奴らとは違って、本心から服従してはいない。全て演技なのだ。



「ちっ・・・・・・「上」の奴ら、底無しの間抜け野郎共が・・・・・・」

今は耐えるんだ。我慢の時だ。なんせ、腹を満たさなければ、人間は何もできないんだからな。

「ああ・・・・・・それにしてもムカつくぜ、あんなバカが「上」だなんてよ」

それこそが反骨精神!お前が本心から服従してはいない証拠!他の奴らはどうだ?まかり間違っても、そんな言葉は出てこない!

「ああ、なんせ、オレは本心から服従しているわけじゃあないんだからな」



「へっへっへ、これを見てくれよ。パンと水を余分に頂戴してきてやったんだ」

システムを欺いたのか!やはりお前は他の奴らとは違う!本心から従う憐れな豚共には、ルールに抵触する発想なんて、生まれっこないんだからな!

「ああ、なんせ、オレは本心から服従しているわけじゃあないんだからな」



「なあ、これ、似合うか?」

なんだね、そのバッジは?

「ランクが上がったのさ」

さすがじゃないか!服従しているフリをしているだけなのに、それでも他の奴らの上をいってしまうとは。

「まっ、どうしようもなくノロマな奴がいてね・・・・・・・「上」が気に入りそうなこともわかってたし・・・・・・」

逆にシステムを利用してやったってわけだ!本心から従っている奴らには到底なしえない芸当だな!

「ああ、なんせ、オレは本心から服従しているわけじゃあないんだからな」



「ああ、クソ!うっかり言っちまったよ・・・・・・お前ら少しは反抗したらどうなんだって・・・・・・従うしか能の無い奴隷がって・・・・・・」

まあ、そういうミスも何度かはやらかすものさ。

「それにしても、奴らのアホ面、忘れられないね。どいつもこいつもポカンとして、奴隷ってのはああいう奴らのことを言うんだな」

服従している者と、服従するフリをしている者との違いさ!反骨精神が違う!

「ああ、なんせ、オレは本心から服従しているわけじゃあないんだからな」



「ブヒ、ブヒ、ブヒイイイイ!ブヒ!ブヒ!ブヒ!ブヒ!」

一体何をしているんだ?

「豚の真似の練習さ。いやね、この前のことが結構な大事になっているみたいでさ・・・・・・システムへの忠誠心を示せと・・・」

偉い!野望を成し遂げる過程では、えてしてプライドを捨てねばならない瞬間が訪れるものさ。つまらんプライドに縋った者にではなく、プライドを捨てることができた者にだけ、システムへの挑戦権が与えられる。お前は試練を乗り越えたのだ。

「ああ、なんせ、オレは本心から服従しているわけじゃあないんだからな」



「我々の!権利を!認めろー!」

今度はどうした?

「連中が妥協案とやらを提示してきてね。今の所は、こういう活動で我慢してはくれないか、と。突っぱねてやりたいのは山々だが、システムの「上」の方で何が起こっているのか、こっちは見当もつかないわけで・・・」

まずは他の奴らと団結してシステムに要求していく、と。実に賢明な判断だ。なんせ、この前のことがあれだけ大事になったんだ、こいつを突っぱねたらいよいよ命が危ないかもしれない。命あっての反骨精神、命あっての挑戦権。

「それに、過激な変革はオレにとってもデメリットが大きいと思ってね。やはり漸進的な変化が望ましいよ」

冷静だな、やはりお前は他の奴らとは違う。

「ああ、なんせ、オレは本心から服従しているわけじゃあないんだからな」



「まったく!分裂、分裂、また分裂だ!」

真実や正義は常に少数派の側にある。

「数人じゃ何もできやしない・・・・・・」

奴隷は目先の利益を追って短絡的になるものさ。

「ああ、なんせ、オレは本心から服従しているわけじゃあないんだからな」



「なあ、これを見てくれ」

いつもより上等なパンと水じゃないか!

「連中がきてね、つまらない運動で才能を無駄にするのはいかがなものか、とね。だから吹っかけてやったってわけよ」

いやはや、システムに影響を与えたわけだ!やはりお前は他の奴らとは違う!

「ああ、なんせ、オレは本心から服従しているわけじゃあないんだからな」


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