さぁ、人生を賛美しよう!

「毎日がつらすぎる。心配・不安・焦燥・屈辱、人生に底流する苦しみに耐えるだけの報われない日々。勉強恋愛労働コミュニケーション、向いてないしやりたくもないのに、うまくできない人には「罰」が待っていて、それを「自分で選んだ道」「自己責任」で我慢させられることもわかっている。もう死にたい・・・・・・よし、140字ジャスト!これで投稿っと」

「おい、ニート!twitterでネガティブな発言ばかり繰り返すばかりで社会に貢献しようともしない!最低の存在だな!」

「うふふ、ただひたすら人生に対してネガティブな発言を繰り返す人間、「人生」に相応しい登場人物だとは思わないかい?」

「はあ?人生と真剣に向き合え!周りの奴らが結婚したなんて情報は嫌でも回ってくるだろ?子供と一緒に写った満面の笑みの写真とかみて何とも思わない?置いていかれて悔しいだろ?」

「君は真剣に向き合っているのかい?」

「お前は人生から逃げ続けた結果、負け組になるんだよ!」

「私が負け組になるって?そりゃいいや!これぞ!まさに!「人生」!私はきちんと「人生」に相応しい人生を送ることができているってわけだ」

「なんなんだよ、お前には人生を楽しみたいって気持ちはないの?」

「人生を!楽しむ!ありえない言葉の組み合わせ。なぜって?それは人生が「人生」だからさ!」

「そうやって意味のわからないことをほざいてろよ。お前はニート状態から抜け出せないまま、無様に死んでいくんだ」

「それは素晴らしい!これぞ!まさに!「人生」!」

「想像してみろ!お前は惨めに孤独死するんだ!どうだ、嫌だろう?」

「孤独に孤独死首つり自殺
 惨めに無様に野垂れ死に
 モテない独身キモオタニート
 ずのー労働精神崩壊
 狂って確保だアイデンティティ
 童貞喪女は飛び降りホイホイ

う~ん、どれもこれもまさに「人生」!わっはっは、奴隷として生まれ、奴隷として死んでいく。人類皆平等」

「おい、いい加減にしろよ。オレたちは楽しむために生きているんだ!そんなこともわからないのか?」

「楽しむためだって?あぁ~あ、つらいつらい。そんなん、こっちまで苦しくなっちゃうよ。生きるためには楽しまないといけないなんて・・・・・・ただでさえ苦しいのにさ」

「違う!楽しむために!生きているの!」

「なんにせよ、「目的」は地獄の炎。さすがの私でもそこまでハードにしようとは思わないんだなぁ」

「目的が無い人生なんて何の意味もないじゃないか!」

「それの何がそんなに嫌なの?」

「お前さっきから意味わかんないよ!楽しみたいとか、幸せになりたいとか、そういうのないのかよ!」

「じゃあ教えておくれ、「幸せ」ってやつはどこにあるんだい?」

「結婚して子供がうまれて、家族のために働いて、みんなで仲良く暮らすとかさ、そういうのが幸せってやつだろ?あぁ、うぁ、うぁ、あぁ~、もうやめてくれよ!なんでこんなこと言葉にしなきゃいけないんだ!」

「今まさに、我々という種が存続してきた秘密に触れたわけだね」

「秘密?」

「秘密は秘密だから秘密のままにしとかなきゃいけない。けど君はもう気づいているだろう?」

「気づきたくないね!」

「じゃあ教えちゃう。虚に実を結べるようになったこと。つまり、気狂いになったってことさ!」

「わかった、もうやめよう、な?そうしないと生きていけないんだから、人類が続いていかないんだから、いちいちそうやって言葉にするのはやめよう」

「気狂いにならないと人類が続かないから気狂いになるのはやむを得ないのでありしたがって気狂いになったことにはならないって?それこそ気狂い沙汰だ!」

「そんなことは言ってない!そうやってみんなを気狂いってことにしたって、何にもならないじゃないかってことさ!」

「みんな気狂いってことになってしまうから気狂いじゃないって?気狂いの気狂いによる気狂いのための理屈だね!」

「気狂いはお前だ!」

「私が気狂い?わっはっは、何をいまさら!これぞ!まさに!「人生」!本日も大規模な気狂い選別作業が絶賛進行中なのであります!」

ポッポー!と薄明に汽笛が鳴り響く。行き先は「人生」!とのアナウンス。シュッポッ、シュッポッ、シュッポッポッ!登場人物たちは汽車の真似をしながら「人生」に向かってノロノロと進んでいく。ある者はひょいひょいと、ある者はしぶしぶと。いつの間にか汽車と一緒にアリさんたちが行列を成し、イチ、ニ、イチ、ニと行進している。

「本日も我々が選別を担当させていただくのであります!」

そう言ってアリさんたちが向かう先には、無数の輪郭が自由を謳歌し蠢いている。腕立て腹筋背筋お勉強、一心不乱に己の肉体と知能を鍛えている者たちがいる。疲れ果ててぐったりしている者たちがいる。

「これが人生!適応!不適応!適応!不適応!」

アリさんたちはぐったりしている者たちや、インチキをしている者たちを的確に見分け、どこか遠くに連れていく。残った者の中には鍛えた肉体と知能を活かし夢中で穴を掘っている者たちがいる、ついていけずに呆然とするばかりの者たちがいる。

「これが人生!適応!不適応!適応!不適応!」

アリさんたちは呆然とするばかりの者たちや、インチキをしている者たちを的確に見分け、どこか遠くに連れていく。残った者の中には「我々は成し遂げたのだー!」と叫び勝利の踊りを一糸乱れず踊る者たちがいる、何も見出すことができずに途方に暮れる者たちがいる。

「これが人生!適応!不適応!適応!不適応!」

おめでとう、人類!こうして強靭な肉体と精神を兼ね備えた真の強者が選別されより良い未来を創っていくのだ!

選別を終えたアリさんたちは音もなくどこかへ消えてしまった。後には真の強者たちが残されている。

「もしも~し、あのぅ・・・」

「バカやめろ!真の強者に話しかけてはいけない、ここではそういう決まりじゃないか!」

「君は随分慣れてしまっているようだね」

「え?」

「あのぅ、そこで一体何をされているのですか?」

「・・・・・・」

「う~む、何も反応が無い。これはどういうことだろう?」

「・・・・・・」

「おや、君まで・・・・・・なるほど!強者に口無し!それが真剣に向き合う者が辿り着く答えなのかね?」

「・・・・・・」

「どうやら君は慣れ過ぎてしまったようだね。ん、慣れ過ぎた?それはつまり適応!ふむふむ、適応に成功した真の強者の姿から真剣に向き合う人生がいかなるものかを推し量ることができるぞ。「人生」を拒絶し続けるゲーム、業火に油を注ぎ続ける我慢比べ、本当につらく苦しいことだが、しかしこれぞ!まさに!「人生」!はっはっは、さぁ、人生を賛美しよう!」


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