どうして「働きたい」の?

「働きたくない」

「またそういうこと言ってる。連中に聞かれたら怠け者がいるって問題になるぜ」

「気に入らないな」

「うん」

「じゃあ、あんたらはどうして「働きたい」の?」

「将来?キャリア?突き詰めれば「カネ」?」

「社会貢献だの成長だの、それらしい理由はいくらでも並べられるさ。なんせ、みんなが労働の正しさを保証してくれてるんだからね。けど、善いと保証してもらったからといって、それが実際に善いことだとは限らない」

「労働とは何か?それは他人や社会の必要を満たすこと、よりうまく確実に満たせるようにしていくことだろう。より少ない人数でよりよいモノ・サービスをより多く生産・提供できるようにすること。こうした進歩・豊かさを目指しているはずだが」

「働いてカネを稼がないと生きていけないシステムの下でね」

「ベクトルが真逆」

「結果、それが実際に必要かどうか、役に立つかどうか、人間を豊かにするかどうかより、そうであると信じ込ませることの方が重要になっている。シゴトを創り、雇用のイスを確保する、そのためのコミュニケーション能力が重要になっている」

「人間を賃金奴隷に変える仕組み、その下で創出される無駄なシゴト、一見必要で役立っているようで実は奴隷の生活や再生産に必要で役立っているだけのモノやサービス」

「まあ、「働きたい」理由がカネだと言うなら正直だよ。反社会的活動によってカネを稼ぐ、シゴトにはそれ以上の意味なんて無いんだからね」

「カネ以外だと「ニート・無職になりたくない」が一番だろう」

「バカにして見下し、「寄生虫」だの「無能」だの「生きる価値が無い」だの好き放題烙印を押してきたんだからね」

「そりゃ「働かなくなったら自尊心が~社会的評価が~」と怖れるようにもなる」

「社会人様は労働を何だと思ってるのだろうね。自己中心的な意味は次々と付与するわ、マウンティングの道具にするわ、他人や社会の必要なんて眼中に無いわ」

「研究者や芸術家やイノベーターは他人の必要なんて考えないもんね!なんてね」

「今話しているのは「研究者」でも「芸術家」でも「イノベーター」でもなく他ならぬ「あなた」の日々の行いについてなんだがな」

「死と将来への不安、世間様に見捨てられる恐怖、これでもうどこからともなく「働きたい」気持ちが湧いてくる」

「だから仕方ない、と?」

「ああ、連中はきっと逃げるね。今もロボットに仕事を「奪われた」人たちのケアが必要なんて言ってやがる」

「あんたらとあんたらが奉仕するシステムに人生も尊厳も「奪われた」人たちのケアが必要と一度でも考えたことがあるかい」

「偉そうにニート・無職に「ワガママ言うな!」とか言うくせに、自分たちのワガママは全部許されると・・・・・・いや、そもそもそれを「ワガママ」と認識さえしていない」

「連中の「ワガママ」でどれだけの人が苦しみ、死んでいるのか」

「ブラック企業・経営者批判に自立・就労支援という名の同化政策・・・・・・まだ続けようとしてらぁ」

「諸々の事情があったんだってさ。カネを稼がないと生きていけない、それが現実なんだから仕方ないじゃないか!」

「けど今はどう?他人を蹴落とし、限られたイスを確保し、余っているモノやサービスのために互いが互いに不毛な命の削り合いを強いる。そんな「現実」にすっかり取り込まれ、ニートや無職が惨めに死んでいくのは仕方ないと思っているんだろ?」

「それは当たり前じゃないか!あいつらは努力しなかったから!能力がないんだから!それが資本主義ってもんだ!・・・・・・ふふふ、すっかり板についてしまったようで」

「ニート・無職や低賃金労働者の方まで連中の狂気で精神をやられちまってる」

「だから感謝の言葉が効果を発揮する」

「苦しくても我慢して働いてくれてる人がいるから、社会が回っているのです!あなたの労働が誰かを支え、誰かの労働があなたを支える。つまり互いが互いに「生かされている」のであります!頑張ってくれてる人に感謝!・・・・・・苦しいからこそ、上級奴隷様が垂れ流す陳腐な綺麗事を綺麗なまま受け取ってしまう」

「しかし騙す意図などなく、本心から感謝している」

「「騙す意図などなく、本心から感謝している」ことが問題なのだが」

「感謝する連中はその人たちに何をしている?」

「それが真実だ」

「人間は生まれながらに価値がある、そう言う連中が他人に何を強いている?」

「それが真実だ」

「連中にとっては、所詮、「その程度の存在」ってことだよ」

「「生かされている」という意識、それは心理的負債。生産に貢献しているものの大部分は自然や過去の積み重ねであるにもかかわらず、現役労働者に対する幻想の負債を背負わせ、それを労働=苦労によって償わせる。綺麗事を並べて「現実」に取り込み、負債を背負う存在であると同時に他人から取り立てる存在たらしめる」

「何の疑いもなくそれができてしまうことこそ最大の罪」

「これだけやっても、連中はきっと逃げるね。今も、価値観の転換が必要だとか、そのための議論が必要だとか」

「そんなもん必要ない。要は、罪を認めるかどうかなんだから。社会を支えていたのではなく、社会をクソな現状に縛り付けていただけだった。善意でやったなんて関係ない、それは反社会的活動でしかなかった、苦しみを増やしただけだった。認められたら、一瞬で全てが変わるのに」

「連中はきっと逃げるね」

「誰かを傷つけても」

「連中はきっと逃げるね」

「社会を破壊しても」

「連中はきっと逃げるね」

「誰かを殺しても」

「連中はきっと逃げるね」

「「連中」とは何か?」

「「連中」とは「あなた」だよ」

「ということは」

「あなたはきっと逃げるね」

「「システム」とは何か?」

「「システム」とは「あなた」だよ」

「だから」
「だから」

「あなたは「働きたい」のさ」


関連記事
スポンサーサイト
プロフィール

遊民

Author:遊民
読みたい本が山積みなのでニートしてます。

twitter
最新記事
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる