{大人」の階段

その子は学校に毎日遅刻してくる
いつも、あと数分というところで、間に合わない
諸々の事情で他の人よりずっと遠くから通っているらしい
先生は言いました
それでも、遅刻は遅刻
学校の目の前に住んでいる子が笑った
この子よりも、遅刻する子の方が、早く起きてるはずなのに
それでも、遅刻は遅刻

先生はいつも言っていました
人の気持ちや立場を考えられるようになることが、大人になるということだ
先生は言いました
君はいつも遅刻ばかりして、ダメじゃないか
けれど先生は確かに「大人」なのだ
それは先生がその子のためを思って指導しているからではない

教室の仲間たちがわいわい話しているよ
遊び?恋愛?イジメの相談?一体何の話だろう
テレビの話をしている人がいる
ゲームの話をしている人がいる
他人の顔の話をしている人がいる
中学生や高校生になると、バイトの話をする人がいるかもしれないし
ちょっと悪ぶろうと、酒やタバコの話をする人もいるかもしれない
彼らも彼女らも、みんな確かに「大人」なのだ
それは「大人」の振る舞いを学んだからではなく
自分の趣味があるからでもなく
他人を上から批評しているからでもないし
カネを稼いでいるからでもなければ
酒を飲んでタバコを吸っているからでもない

引きこもって苦しんでいる不登校の人がいたとして
その人もきっと、十中八九は、「大人」に違いない
「大人」をどう定義しようが、「大人」にならなければならないいじょう
みんな「大人」なのだ、前倒しで「大人」なのだ
「前倒し」では語弊があるかな、現実には「大人」なんてどこにもいないのだから
「前倒し」を認める以外にないというか・・・・・・
ならば「大人」にならなければならない全員に認めるのが道理ではないか?

ここだよ、ここ、ここここ
「大人」にならなければならないって所さ
みんな「大人」になっちゃったから、きっともう忘れてる
「大人」になんてならないぞ!って、自分で自分に誓いを立てたはずなのに
うん、うん、忘れるのは仕方ないんだ、だって、そういう風にうまくできてるんだから
「大人」の階段が日常に溶け込んでくれているおかげで、いつの間にか忘れられる
自分で自分を裏切ることは、とてもつらいことで、心の傷になっちゃうからね
愛情?真心?慈悲?慈愛?「大人」にならないと、生きていくのがそれ以上につらいから
自分で自分を裏切ることも、正しいことになって、スーッとできて、スーッと忘れられる
愛情?真心?慈悲?慈愛?そういうカラクリ、ほ~よ~

わたしは今日も決められた時間に学校に行き、階段をのぼり、教室に向かう
教室が3階にあるから、毎日階段をのぼるんだ
「大人」の階段をのぼる、「大人」の階段をのぼる
のぼる、のぼる、のぼる、のぼる、のぼらされる?
わたしが 向かうべき 教室は3階にあるのだから、のぼる?のぼらされる?
もしもし、君は階段をのぼっていますか?のぼらされていますか?

のぼらされる?一体誰に?

ではどうして階段をのぼるのですか?

教室が3階にあるからさ!

おめでとう!君はもう立派な「大人」だ
「大人」とは、「なる」ものではなく「させられる」もの
「大人」とは誓いを忘れたもの
「大人」とはつまり この世界 の住人のこと

みなさんおはようございます!それでは出席をとりますので、名前を呼ばれた人たちは、手を上げて元気よくハイと返事をし、そのまま階段をのぼってきてください

○○!

ハイ!

××!

ハイ!

△△!

ハイ!






あ~ぁ、わたしの番だ


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